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大人になったら喫茶店をしようと思った。 (中略) ある日、決心し友達に話してみた。意外にも男友達は「いいんでないか、似合うかも…」といい、女友達は「あんたならできそう…」と真面目な顔で言った。有頂天になった私は父にも言ってみた、「わっはっはあ、このブスのじゃじゃ馬がぁ、金も無いくせに、見ろこう言っただけでふくれっ面だ。喫茶店などはお客さんに何を言われても愛想よく笑っていなきゃならんのだ、お前にできるもんか、ひっひっひ」 父は一笑に附され、母には叱られて私は、地方官庁の事務員になってしまった。 (佐藤瑜璃「終りのない夢」)
「月刊おたる」という場を得て、書き慣れるにつれてもの凄く重要なことを語り出していると思う。小樽の人間は小林多喜二が大事で沼田流人なんか知らないから、こういう貴重な発言に誰も気がつかないのだろう。
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