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ほぼ全山が広葉樹に覆われた片山(大宮山)は暑い夏以外はいつでも散歩するのに最適な山である。なかでも西の平(ここが本来の片山)に植えられたカエデの紅葉は見事で、ほとんど10年来その時季に通っている。
10年も通っていれば、これ以上はなかろうという見事な色も見てきたし、気候のせいで期待できそうもない今年は別に行かなくてもいいかと思っていたのだが、おとみ山のリクエストがあって、それなら別に異論もない。
なにせおとみ山の赤(紅)好きは人並みはずれていて、どんなに見事な黄葉であろうとも、「もっと赤があったらなあ」の一言が出る。「真っ赤な秋」でなければいけないのである。でも、そもそも甲州の山は黄葉の山なのである。きっとホームズでは「赤毛連盟」が一番好きに違いない。カラオケでは「赤色エレジー」を歌い、ははぁ、なるほど、それで車のナンバーが2899なのか。
片山すなわち武田の杜は全山が公園のようになっていて、おびただしい歩道が張り巡らされている。それらもほとんど歩いてしまって、残りはほんのわずか、今回は、そのわずかに残った数百メートルも歩いて、まずコンプリートとなった。
それはともかく、今年のカエデはおそらく完全に紅葉する前に葉が落ちてしてしまったのだと思う。カエデは落葉したあとも、こんどは地面が紅くなって見事なものだが、それが早くも干からび、色を失っていた。
ま、それはそれ、今年の状態を楽しめばいいことである。植林のカエデはそう裏切ることもないから、西の平でもそこそこ美しかったし、木によっては見事な紅葉もあった。何より、完全貸切のお座敷から甲府盆地を睥睨する気分のよさ、すっきりとした富士山、ぜいたくな山散歩であった。
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