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ヒガンバナ(彼岸花)は別名曼殊沙華ともいうが、これは、サンスクリット語で「天界に咲く花」という意味があるらしい。他には「死人花」とか「幽霊花」とも言われ一般的にはお彼岸の頃に咲く花なので不吉な感じがしてこれまで遠ざけられるようになったのだが、一方、「おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる」とも言われているので、そんなに気にする花でもないように私は思っている。
先日、大学で植え込みの手入れをしていたら、一輪(一株)だけ咲いているヒガンバナを見つけ、スマホに収めた。「あの妖艶さが好き」とか「この花を見ると癒される」という人もいて、言われてみれば“妖艶”な感じがしないでもない。 7、8年前になるだろうか、まちおこしの一環で山形県から支援金を受けて、戸沢村の最上川沿いにあった航行安全を祈願した六地蔵の傍や庄内町の山沿いの砂利道の両脇、芭蕉上陸の地にあった銅像付近に結構なヒガンバナを植えたことがあった。造園家としては田んぼの畔に連続して植えるとか、林内に群生するように植えると見栄えがするのでもう少し地元の人には頑張って貰えたらと思うこの頃ではる。
民俗学者の宮本常一著の「忘れられた日本人」(岩波文庫)には、伊予(愛媛県)から土佐(高知県)のシライ谷に来て小屋を建てこのシライ(ヒガンバナをシラエとも言っている)を今でも植えられていると書いている。ヒガンバナを煮て川水で晒し、毒を抜いて餅にして食べたということも書いている。試しにこのシライ餅、機会があったら是非一度食べて見たい。―歩きつづける彼岸花咲きつづけるー 種田山頭火【20240923(月・祝)】
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