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▼ 「人間像」第121号 前半   引用
  あらや   ..2024/04/04(木) 18:25  No.1077
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第120号が完了した翌日には、「人間像」第121号作業に入っています。
表紙絵が変わりましたね。第120号までは同人の丸本明子さんが描いていたのですが、今号からは藤茂勇さんが担当するみたいです。丸本さんは扉絵の方に移りました。
今号のラインナップは、朽木寒三『縁の下の砦』、内田保夫『これが規程だ』、丸本明子『つくし』、針山和美『俺の葬式』の四作。今、第121号の半分くらいを占める長篇作『縁の下の砦』を人間像ライブラリーにアップしたところです。いやー、面白かった!

 
▼ 縁の下の砦   引用
  あらや   ..2024/04/04(木) 18:28  No.1078
   とにかく、三つか四つの頃から並はずれて生き物を好む子供だったが、中でも馬が大好きで、やっと鉛筆を持って物の形らしいものを書くことができるようになったとき、まず描いたのが馬の絵で、それ以来、描く絵は全部馬ばかりだった。
 絵とはいっても、紙の上に横向きの細長い四角を書き、頭の部分は簡単な丸ですませて、そのあとは首も四つ足も一本の細い線という簡単なものである。だが、何枚も何枚も紙のありったけ同じものをくりかえし書きつづけて飽きることがない様子なので、父親の勇治が、
「これ何んの絵だ」
 と聞くと、昭は小さな胸を張り、
「馬っこだ」
 ためらうことなく明解に答えた。
(朽木寒三「縁の下の砦」)

いつもの〈斎藤昭〉シリーズとは趣を異にして、この作品では〈斎藤昭〉の幼少期が語られる。シリーズにこの一作が入ると、シリーズ全体の物語世界が十倍ぐらいに拡がりました。これは、朽木寒三の〈イーハトーヴ〉か。

 
▼ 「人間像」第121号 後半   引用
  あらや   ..2024/04/10(水) 11:16  No.1079
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「人間像」第121号、完了。112ページの作業時間は「52時間/延べ日数8日間」でした。収録タイトル数は「2294作品」に。

 ながーい昭和が、やっと終わった。六十二年間のうち、戦争に明け暮れたのは四分の一くらいだったが、まるまる昭和を生きて来た者にとっては、半分くらい、いや、それより長い期間だったような気がする戦争だった。昭和とか日の丸と言えば戦争のイメージばかりが強いが、昭和とともに戦争も永久に去り二度と来ないで欲しい。きっとそんな願いを込めての「平成」だと思うが、永い平和を期待したいものだ。
(「人間像」第121号/編集後記)

またまた裏表紙が変わりました。『百姓二代』を朽木氏が評するなんて素敵じゃないですか。

 針山君は、いわゆる私小説ではなく他人のことばかり書く。そして色々な人それぞれの立場や心情を実によく書き分ける。殊に、たがいに対立する何人かの人々がそれぞれ自己主張をするような場面に、それがいかんなく発揮される。私は針山君の作品を読むといつも、「ひとごと」とは思えず身につまされてしまう。彼としては失敗作に属する物でもそうなのだ。
 彼のもう一つの特色は、他人のことばかり書くのに、どの作品にも必ず、針山和美自身が影の形にそうように表現されていることだ。だから針山君の作品は、ある意味では非常に切実な『私小説』だと思う。



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