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▼ 少年マタギと名犬タケル   引用
  あらや   ..2024/06/16(日) 14:38  No.708
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 ながーい昭和が、やっと終わった。六十二年間のうち、戦争に明け暮れたのは四分の一くらいだったが、まるまる昭和を生きて来た者にとっては、半分くらい、いや、それより長い期間だったような気がする戦争だった。
(「人間像」第121号/編集後記)

現在、「人間像」の復刻は全190号の内、「125号」を進行中です。同人も一斉に定年退職期に入り、執筆にかける時間も増えてきました。時代も昭和から平成に入り、なにかと自らの「昭和」を考える作品が増えてきているように感じます。村上英治『いつかの少年』(124号)を読んだ時は、なんときっちりしたヤングアダルト文学!と感心したものです。

そしてついに児童書として出版されるようなケースも出てきました。朽木寒三『少年マタギと名犬タケル』(ポプラ社,1987)、『釧路湿原』(理論社,1991)は、「人間像」に発表された〈斎藤昭もの〉をベースに書き下ろされたものです。結構なお値段だったけれど、こればかりは図書館で済ませたくなく(私は斎藤昭ファンクラブなので)古書店で買いました。『少年マタギ――』は子どもに親切すぎる気がした。子どもは頑張って、大人のために書かれた小説だけど『縁の下の砦』(121号)を読んでみるといいよ。絶対面白いから。

 
▼ 釧路湿原   引用
  あらや   ..2024/07/10(水) 17:40  No.709
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 まれに見る劇的かつ感動的なこの物語は、昭和二十五年七月の末、本篇の主人公・斎藤昭(当時まだ十六歳になってわずか二ヵ月の少年だった)が、東京浅草の隅田公園で、風にあおられて足もとに舞い落ちた一枚の古新聞をなにげなく手にとったことから始まる。
 二匹の白犬を朝の運動に連れて来ていた斎藤昭は、解き放った犬たちが遊んでいる間、かたわらのベンチに腰をかけて、その古新聞をひろげた。そして、ふと目にうつったのが、

  《夏の風物詩》
  北海道大楽毛の馬市
    いよいよ明後日から開催

 (中略)

「あっ、これが釧路馬なのか」
「おれどうしよう。こんなことしちゃいられね」
 さっと全身の血がひく。
(朽木寒三「釧路湿原」)

7/20の講演を控えて、資料作りであまり落ち着いた状態ではない中での読書でした。講演が終わったら、『少年マタギ』ともども、また読み直そう。今、作業中の「人間像」第125号に面白い記事が。

☆朽木寒三が理論社から出版した『釧路湿原』が重版になると共に北海道の教育選定図書になった。中学生向けという事だが一冊でも沢山売れてほしいものだ。それにしても今の中学生が「選定図書」なんて読んでくれるかな、とちょっと心配になる。同社から「窓の下の犬」の出版の申し込みも来ている。
(同人消息)



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