| ▼直通列車走る 虻田町の有珠山噴火は、世紀末の本年のトップニュースになるだろう。残雪があった三月二十七日に火山噴火予知連絡会が噴火警報をだし、住民の避難勧告をしたとき虻田町周辺の住民は長期避難、深刻な被害も覚悟したろう。 有力な観光地である洞爺湖温泉街では、シーズンにかけての予約が例年通りのところ、よもやの事態に大あわてだったという。ホテルは堅固な建物で頻発した振動は宿泊客に不安を与えるものでなかったというが、二十七日に急転し、震度のレベルが上がって、断層、隆起、地溝発生と目に見えて悪化した。クライマックスの噴火はいつかに、報道の焦点がしぼられ、湖畔に設置したテレビカメラの前でアナは懸命に実況放送を続けていた。 噴火の第一報は三月三十一日午後一時といわれている。火口は湖畔の温泉街から見て稜線沿いに開いたようだった。いくつもの火口から噴煙が上がり、テレビでも噴石がはじき飛ぶ様が見受けられた。 しかし七月末には火口周辺以外は避難解除になっているが、この噴火で洞爺湖温泉街の観光客入り込みは莫大な影響を受けた。洞爺湖ばかりでなく小樽も、例年より周遊客が減少し、予想外の成り行きに不安を党えている向きもある。有珠山噴火は洞爺湖ばかりでなく、ただちに道央の小樽にも影響があるのだ。全道的に観光客の入り込みは昨年度までは右肩上がりだったが、本年度は四月期マイナス一○%で、その傾向は続くと思われる。積極的な誘致対策が展開されているが挽回できるだろうか。 この噴火で国道二三〇号線が地盤隆起でストップとなったが、同時にJR室蘭本線も洞爺―有珠間で線路がS字状にずれて運休となった。列車は翌一日以降は東室蘭―長万部間は全列車が運休し、一部は函館本線に迂回となった。噴火で札幌―小樽―函館を結ぶ函館本線を、二ヵ月ほど直通特急列車が走った。ひさしぶりのことだった。
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