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牛泥棒でつかまった『百一馬喰』は、百話すうちにほんとのことはせいぜい一つしかないのでその名前がついたのだが、その百一つぁんのほかにもう一人『マルホ』というのがいた。これは、隣県、とはいっても斎藤昭の住む岩手県一関からそんなに遠くない宮城県々北の馬喰なのだが、 「言ってることがまるっきり全部ほらばかり」 なのがこのあだ名の由来だった。しかし考えてみると百一にしろマルホにしろ一匹馬買いのちんぴらなのに、ほら吹きの看板を背にしょったまま、鬼より恐い海千山千、ばの字づくしの荒くれ男がむらがるこの渡世でなんとかかんとか生きて暮らしているのだから、それなりに大したもんだと言わねばならなかった。 (朽木寒三「マルホほら話」)
第117号作業、開始です。まずは、絶好調の「斎藤昭」シリーズ、朽木寒三『マルホほら話』完了。以降、内田保夫『境界は凪であれ』、丸本明子『マーガレット』、矢塚鷹夫『ロールプレイング』、千田三四郎『手探り寅吉ノート』と続きます。
昨日は庭木の冬囲いで丸々一日時間を取られてしまった。
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