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十二月中旬より大森光章『このはずくの旅路』のデジタル復刻作業に入りました。
大森光章氏の作品については、著作権継承者の許諾を頂くべく探しているのですが、現在も継承者の方に辿り着いていません。ご存じの方がおられましたら新谷に御一報をお願いいたします。
許諾もないのに復刻を始めるのには理由があります。沼田流人についてもっと深く知りたいという思いは、今年の二月、佐藤瑜璃『父・流人の思い出』の発見をもたらしました。これによって、従来『沼田流人伝』が流布していた流人イメージをかなり修正することができたと思います。それに加えて、今年は、竹中英俊氏の新発見資料によって、東京(中央文壇)における流人イメージが劇的に変化する年でもありました。鳴かず飛ばずのように語られていた流人の作品が、じつは届くべき人には届いていたということを知るにつけ、その流人が小説を書いていた時代をもっと深く考えなければいけないと感じます。その気持ちが『このはずくの旅路』復刻を急がせました。ここには孝運寺の片隅で『血の呻き』を書いている沼田流人の姿がある。
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