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No.1099 への▼返信フォームです。


▼ 湧学館後の日々   引用
  あらや   ..2024/06/20(木) 14:13  No.1099
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一週間くらいかかって講演会用の資料を作りました。(まだ下書き段階ですが…) 「人間像」第125号の針山和美『シマ婆さん』を例にとって人間像ライブラリーに収録するまでを説明したりしています。こんなことを人に説明するのは初めてなのでなかなか手間がかかります。確認のため、久しぶりに「同人通信」などを読み返したりしていたのですが、手に取る資料や本がどれも面白く、ついつい読み耽ってしまって困った。今日は20日か… あとちょうど一ヶ月後ですね。(なにかドキドキしてきた…) 心を落ち着けるために第125号作業に戻ろう。

 
▼ 「人間像」第125号 前半   引用
  あらや   ..2024/06/20(木) 14:17  No.1100
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雑誌発表形の『シマ婆さん』を初めて読んだのですが、おお!という手応えが私にはありましたよ。これ、合評会で滅茶苦茶言われるだろうなぁとは思ったが、小説としての痛快さでは単行本『老春』に収められた『シマ婆さん』を越えているのではないか。
ちょうど今、手許に「同通」があるので見てみたら、言われてる、言われてる。

村 シマに言うべき遺言をシマが死んでから、シマを意識して、スマンということは、どうしても逃げになる。
針 うん、逃げだ。
村 ここは逃げてはいけない。
針 村上さんなら逃げないだろうが。
村 ゼッタイ逃げない。
針 僕は書けない。
村 書ける書けないではない。
(「同人通信」No.212/道内同人会「125号合評」)

ううっ、凄い。『いつかの少年』が本気で針山氏に詰め寄っている。…という調子で、「同通」が手許にあるといつまでも読んでしまう。仕事にならない。元の資料保存箱に隔離してしまおう。

 
▼ 流れのアリア   引用
  あらや   ..2024/06/24(月) 13:59  No.1101
   「興奮していないようだ」と言う婦長の言葉に(こんな時にまで)と柚李は苦笑した。母親はいつも、「この子はお父さんにそっくりなのよ。何を考えているのか、嬉しいのか悲しいのか、ちっともわかりゃしない。女の子はもっと可愛げのある顔しなきゃ損なのよ」と心配そうに言った。柚季の大すきだった、もの静かでやさしい父は柚季が大学二年の秋、突然の心臓発作で他界した。結婚するなら絶対に父のような男性と――、と思い続けてきた柚季が、深い悲しみから立直れず、父の思い出にひたって婚期を逸してしまった。
(佐藤瑜璃「流れのアリア」)

『湧学館後の日々』の講演資料、完成しました。〈佐藤瑜璃〉というピースが入ったことによって講演の話の流れも構想できるようになり、有難いことこの上ないです。

うーん、〈父〉が出て来ましたね。

 
▼ 北の島にて   引用
  あらや   ..2024/07/02(火) 17:08  No.1102
   三ツ塚留雄は、礼文水道の左手に鯨の背のように浮かぶ青い島影を、いつまでも飽かずにじっと眺めていた。
 海が凪いでいるのに、フェリーボートは緩やかにローリングしていた。船酔いに似た追憶がこみあげてきた。留雄は後部甲板の冷たい風に軀をさらしながら、「あそこが生まれ故郷か……」と声にならない呟きを漏らし、回帰する鮭のイメージへ自分自身の思い入れを重ねて、島に対する得体の知れない不安と期待を込めていた。
(千田三四郎「北の島にて」)

『北の島にて』はすでに人間像ライブラリーにアップされています。この作品の後、第125号作業は一時中断して、7月20日講演会への準備作業を今はやっています。それは例えば、人間像ライブラリーが始まった2017年当時、司書室BBSに書いていた作業メモを一本にまとめるとか、そんなことです。講演に直接関係があるわけではないのですが、いわば自分に対する裏付けという意味で。

『北の島にて』、大変技巧的な、それでいて物語的な力強さを失っていない、さすが千田三四郎とでも云うべき作品でした。主人公の三ツ塚留雄が、『ばばざかり』(第123号)の須賀三平の三十数年後の姿であることに気がつくと面白さは十倍。早く第125号作業に戻るべく頑張ります。

 
▼ 人間像日誌   引用
  あらや   ..2024/07/09(火) 11:37  No.1103
  一週間ばかり第125号作業を中断して「人間像日誌」をまとめていました。2017年度、2018年度、2019年度の三年間です。「ただいま」というスレッドから始まり、2020年の二月には武漢のニュースが入って来るという、それなりに私には激動、でも傍目には楽しい読み物に仕上がっていると思います。コロナ下の2020年以降については、また別の機会に。講演までの日にちが迫ってきました。

 
▼ 八百字のロマン   引用
  あらや   ..2024/07/12(金) 11:56  No.1104
   母の十三回忌の法要を終えて実家から帰る途中、ふと香月駅に寄ってみたくなった。国鉄第一次廃止線の対象となった香月線で、私は娘時代の四年間を直方の女学校へ通った。その始発駅がどうなっているか……、確めたかったのである。「それはよいことだね」と夫はうなずき、車を回してくれた。駅の周辺は想像以上に変容していた。ビルが建ち、ショッピングセンターができ、人通りも多くて活気があった。それにひきかえ、線路は錆つき、枕木は雑草に覆われ、駅舎は廃屋となって壁には板がすじかいに打ちつけられており、無残な光景であった。
(日高良子「八百字のロマン」/廃止線の香月駅で)

講演のことばかり考えているとプレッシャーで押し潰されそうだ。こんな時こそ、ルーチンの「人間像」作業をやらなければならないし、本を読んでいなければならない。それが出来た上での講演だろう…と第125号作業を意識的に再開しました。

扱う作品が日高良子さんで良かった。心が少し落ち着いた。

失敗しようと上手く行こうと、私にはこれしか出来ないのだから、講演は七年前にやっていた出前図書館のスタイルでやってみようか…とか思ったりする。

 
▼ 寅吉の故郷   引用
  あらや   ..2024/07/15(月) 04:58  No.1105
   「もしもそのころにギネス・ブックがあったなら、脱獄七回の五寸釘寅吉は、当然それに記録されていたろうね。逃げるとき、五寸釘の刺さった板きれを踏み抜いた。その板きれを足裏にくっつけ痛いのを我慢したまま、バタバタと二里半ほども逃げ回ったエピソードで五寸釘寅吉と言われるようになったらしいが、そんな寅吉が明和町の出身なんだ」
(千田三四郎「寅吉の故郷」)

神坂純『私の山頭火』に進みたいのだが、さすがに講演が迫ってきている。寅吉とか、松浦武四郎とか、伊勢国(現在の三重県)ってユニークな人を生み出すなあ。

 
▼ 私の山頭火   引用
  あらや   ..2024/07/17(水) 14:03  No.1106
   今年私がやろうとしていることは、南の島へ渡ってしまうという一事だ。人間が嫌い、日本が嫌いと言ってみても、南の島にも人が住い、彼らの国としきたりがある。それでも敢えて島に渡ってしまい度い。
 渡ることによって、何かが拓ける。それが何であるかシカと確めた訳ではないが、今迄になかったものが拓けることは、確かなようである。その新天地で、心から素直になって、あの世へ渡る準備をしたい。
(神坂純「私の山頭火〈九〉」)

やあ、第125号、最後まで来ちゃいましたね。上澤さん、ほんとにサイパン島に行っちゃうのかな…

さて、ここからは本当に7/20講演会の準備です。出前図書館(ブックトーク)スタイルでやることにしました。

 
▼ 「人間像」第125号 後半   引用
  あらや   ..2024/07/19(金) 10:17  No.1107
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「人間像」第125号(142ページ)作業、完了です。作業時間は「73時間/延べ日数18日間」。収録タイトル数は「2359作品」になりました。

7/20講演会(明日だ!)の資料作りと併走になったわりにはてきぱきと事が運んだように感じます。裏表紙は前号と同じ『愛と逃亡』ですので省略します。

さて… さて…



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