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No.1114 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第126号 前半   引用
  あらや   ..2024/09/03(火) 17:36  No.1114
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「人間像」作業、再開です。本日、佐藤修子さんの詩三編と佐々木徳次さんの『軍港』を人間像ライブラリーにアップしました。次、内田保夫『甘美の陥穽』、佐藤瑜璃『落葉日記』、丸本明子『蒼天』、針山和美『洋三の黄昏』、村上英治『海に棲む蛍』と続きます。

「同人消息」に興味深い記事が。

☆朽木寒三の斉藤昭伝は総題を『雪の砦』とする本文四巻・別冊一巻からなり、五千枚にも及ぼうと言う一大長編である。その総目次が編集部に届けられたが、第一巻だけでも七章まであり、第一章は「縁の下の砦」として『人間像』に発表、第二・第三章は『少年マタギ』としてポプラ社から出版。第二巻の第一章から三章までは『釧路湿原』として評論社から出版。別巻のうち六篇が『人間像』に発表済みと言う事になる。従って未発表の物がまだ半分以上あり、百枚ずつ発表しても死ぬまでに発表し絶わるかどうか、と言っている。まさしくライフワークと言う訳だ。
(「人間像」第126号/同人消息)

古本屋でこの『雪の砦』を見かけたことはなく、おそらくは未刊に終わったものと想像されますが… 惜しい! 原稿さえ残っていれば、人間像ライブラリーで復刻するのに。


 
▼ 落葉日記   引用
  あらや   ..2024/09/06(金) 10:31  No.1115
    四月 二十日 水曜日 曇
 昨夜は三度もトイレに起きて、よく眠られなかったが、いつも通り五時に目が覚めた。一人ぐらしになって九日め、肌寒いのと、けだるさで、起き出す気にならず、うつらうつらする。七時にカーテンを開け、新聞を入れてまたねる。十日前までは今頃の時間は出勤する洋一や香織、大学へ行く洋樹達が台所と茶の間を右往左往していて、それなりに活気があったと今は思う。知らない町の狭い官舎住いがいやで、住みなれた自分の家に一人残ったのだが七十七歳の一人ぐらしはやはり淋しい。
(佐藤瑜璃「落葉日記」)

いや、感じ入った。作業中はいちいち感想を述べたりしないで、てきぱきスピードを上げようと思っていたのですが、こういう作品に出逢うと、作業の手を止めてでも誰かに喋りたくなる。人間像、凄い人が入って来たものですね。

 
▼ 洋三の黄昏   引用
  あらや   ..2024/09/09(月) 17:01  No.1116
   佐山洋三は家の中でもいちばん先に起床する。本当はもっと早くに目覚めているのだが、あまり早くに起き出しては家人の邪魔になると気がねして、布団の中でじっと我慢している。そして今日の一日をどのように過ごすことが一番よいのかあれこれと思案を巡らせてみる。なにもする事はないのだが、なにもしていないと自分がなにか大きな塵になったような気がして、家の中にいることが苦痛になってくる。
(針山和美「洋三の黄昏」)

針山さんの作品を毎号読めるのは嬉しい。前号の『シマ婆さん』からこっちは1992年4月発行の『老春』という単行本にまとめられるのですが、雑誌発表形を読むとなにか新鮮な感じがしますね。で、改めて単行本を読むと、こちらも楽しい。

『洋三の黄昏』は二日前に終わっていて、すでに村上英治『海に棲む蛍』に入っています。〈海に棲む蛍〉が何か、解るところまで来ました。あと二、三日かな。

 
▼ 海に棲む螢   引用
  あらや   ..2024/09/16(月) 10:02  No.1117
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 黎明塾の前に、肌の浅黒い骨張った貌の男が立った。雪でも払うように、肩の土埃にぱんぱんと手の音をさせている。
 倉田老師は、眼を細め抱きかかえるようにして、その男を迎えた。
「海に棲む螢を見に来ました」
 男は快活に言った。
 老師はそれに微笑し深く頷いている。
 彼が振り返った。
「頼三樹三郎です。諸君よろしく」
(村上英治「海に棲む螢」})

活字も小さく、その活字よりも小さいルビもこれまた多い。第126号だけに頼っていると時間がかかり精度も落ちるので、参考用に道立図書館に予約しました。そしたら、厚さ3.5p、696ページの本がドカッと届いたわけです。いや、吃驚。
連載第一回ということで、毎回こんな分量の作品が続くのかなあ…とちょっと心配していたけど、単行本を見て一安心。「連載」というよりは「連作」ですね。それにしても分量が凄い。『海に棲む螢』だけでも結構な長篇だと感じたけれど、これ、単行本の約700ページの内の50ページ分にしか過ぎないんですよ。単行本で読み通す人、いるのかなあ。

 
▼ O君   引用
  あらや   ..2024/09/16(月) 10:06  No.1118
   落ち着いてから入り口で貰った案内書を見る。各段の出場者名簿とトーナメント表が出ている。三段の表を見たあと一段から順に眺めていると、突然京極と言う文字が眼に入った。京極とは前の勤務先の地名である。誰かなと思って見るとO君である。懐かしさだけではない或る種の感動が胸の内に沸くのを覚えた。
(春山文雄「O君」)

私も京極にいる時、なんか剣道熱の高い町だなあ…と感じました。きっと立派な指導者がいたのでしょうね。

 
▼ 「人間像」第126号 後半   引用
  あらや   ..2024/09/16(月) 10:11  No.1119
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「人間像」第126号(128ページ)作業、完了です。作業時間は「73時間/延べ日数15日間」。収録タイトル数は「2391作品」になりました。裏表紙の広告が変わりました。こちらも村上さんですね。

 村上英治 あした秋篠寺へ

 村上英治は吾々の仲間の中では寡作の方である。しかし、何年か置きに大作・力作と言ったたぐいの作品を書いて仲間をびっくりさせる。中でもこの『あした秋篠寺へ』は二百枚を超える長篇でありながら、詩的表現とも言うべき密度の濃い文章で緻密に描きあげていて、文字通りの渾身作となっている。
 北海道新聞の「上半期の道内文学」(62・7・11)で執筆者の神谷忠孝が次のように評している。
――二百枚をこえる長編で、末期のがんを病む妻を夫の眼から書いた作品。病室にかかっている藤島武二の複製画に描かれている女の肖像や広隆寺の弥勒菩薩への憧憬を重ねながら妻を抱く場面の文章、秋篠寺の伎芸天の描写が印象的だ。農産物を扱う会社の有能な社員としての一面も描いており、堂々たるロマンになっている――
 そのほか二篇の代表作を加えた第一創作集。



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