| 「いいところへ来てくれた。実はあんたの力を借りたかったんだ」 と咽喉がつぶれたような、太いしゃがれ声でいった。 「実は、天虎(てんこ)と横浜と羽田の学生たちで、特攻隊を編成したんですよ。天虎に集結して特別訓練をすることになったんですが、教官が足りないんです。横浜からは三十三名の学生と九〇初練六機が、また羽田からは十二名の学生がそれぞれ天虎に集り、天虎とあわせて八十三名の特攻要員の訓練を開始しようというんです。海軍航空本部が全面協力してくれることになっています。ご苦労でも臨時に天虎の教官になってくれませんか」 (平木國夫「さい果ての空に生きる」最終回)
『さい果ての空に生きる』を早く読みたくて、第98号作業始めてしまいました。上出松太郎の一代記とも云える『さい果て』ですが、場面は、どんどん日本の戦局が泥沼になって行く昭和20年5月の東京です。すでに3月の大空襲で焦土と化した東京、霞ヶ浦から出向いた上出に思いもかけない特攻隊教官の話が降ってくる。さらに物語は、この横浜の学生の中には著者・平木國夫もいたという意外な展開に入って行きます。
と、ここまでが昨日の作業でした。今日もこれから作業です。あと二日くらいで『さい果て』は終わるかな。東京は桜が満開みたいだけれど、小樽の家の庭には二月の大雪がまだ一メートルくらい残っています。
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