| 柚木完三は、三十代のはじめからかかって十年間準備をつみ重ね、そのあとつづいて二冊書いた。中の一冊はモデル問題をおこして、主人公周辺の家族たちがやたらうるさくて、発行と同時に絶版になってしまった。だが幸いもう一つの方が、十年以上も生き残って、今夜の、こういうことの原因になったりしている。 だが、柚木完三はこの十年間、完全に打ちひしがれて、挫折感のとりこになり、再起不能の実状である。 (朽木寒三「柚木完三の孤独な人生」)
十二月より「人間像」第104号作業スタートです。先ほど、朽木寒三『柚木完三の孤独な人生』をライブラリーにアップしました。(作業していて、ちょっと涙出た…) 以下、内田保夫『残照の中の華』、佐藤修子『未だ見ぬ子へ』、針田和明『志保』、神坂純郎『水脈(第二回)』、針田和明『阿片秘話(第四回)』と続きます。
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