| 「されよ、されよ、されよ。………」 私たちは、せいいっぱいの声で、どなりながら、すべっていった。中学校の上の角の、野口雑貨店のところまでが、特別急な坂であった。ガリガリガリ、そりは、凍った路面を次第に、スピードをあげ、すべる。 グワン、体が、何となく、ふわっと、浮いて、道路のわきの、やわい雪の中に、ほうりだされた。 道路わきに、かためて、捨ててあった、灰(あく)の山に、ぶっかったので、あった。 「いや、びっくりした。みんな、大丈夫か」 青池さんが、みんなを、見まわした。 「おっかなかったな」 坪田さんがいう。 「ふっとんだもな」 (北野広「夢みる頃」)
小樽中学(現・潮陵高校)の上の五百羅漢のあたりから、橇に乗って坂を滑り降りてくる様子ですね。時代としては、針山和美『わが幼少記』に描かれた時代と同じ小樽です。
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