| 「美紀と話をしてくださいね」 「子供のことはおまえに任せてある」 「結婚の話ですよ。しかもお相手は、あなたの元上司の息子さんだし……」 「良縁だ。何の問題もない」 「美紀は迷っているようですよ。なにせ、まだ若いですし……」 竜崎は、新聞をめくり必要な情報を頭に叩き込もうとしていた。 「わかった」 また生返事をする。 (中略) 五紙全部に目を通し終えたとき、息子の邦彦が寝間着代わりにしているトレーナー姿で現れた。 「朝ご飯は?」 妻が邦彦に尋ねる。 「コーヒーだけくれよ」 竜崎は新聞をたたんでテーブルの端に置いた。 「予備校はちゃんと行ってるんだろうな?」 尋ねると邦彦は、眼を合わさぬままこたえた。 「ああ。だからこんなに早起きしてるんじゃないか」 (今野敏「隠蔽捜査」)
ふーん、うちの家族構成と同じだ…
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