| 「新入社員に毎年紹介してますが、あれはタイムス少年像というものです。昔、うちの会社は北海道の貧しい田舎でタイムスの新聞配達をしている少年たちに奨学金を出して高校や大学に行かせていました。そのときの名残りです」 たしかに左脇に新聞の束を抱えていた。その少年の後ろには大きな鳩がレリーフされている。 桐島さんが僕の顔を見た。 「鳩が気になるんでしょ」 「あ、はい……」 桐島さんがくすりと笑って「毎年新人に聞かれてここで説明してるけど今年は宿題にします。鳩と新聞社の関係、考えといて」と言った。 (増田俊也「北海タイムス物語」)
で、これが竹中敏洋「タイムス少年像」。「北海タイムス」はもう廃刊しましたから、もうこの彫刻はありません。写真は、原子修の彫刻詩集『札幌の彫刻をうたう』(みやま書房,1981.10)からお借りしました。
野外彫刻って、けっこう動くんですね。この彫刻詩集の中央区エリアだけでも、例えば、エイトビルにあった梁川剛一「開拓凱旋の像」や、札幌市民会館にあった竹中敏洋の「札幌市民憲章」レリーフが改築などでいつの間にか消えたりしています。で、突然、駅前のアスティ45壁面の竹中敏洋「THE SKY」を見つけて、あれーっ、これって「札幌市民憲章」レリーフじゃないの?とか。なかなか奇怪なことが多い。
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