| 別の質問が出た。 「三月三十日ってのは、間違いじゃない? 三月は三十一日までのはずだけど」 その声は、それまで一人、何も言葉を発さないでいた、ジャージ姿の男の子のものだった。こころが内心で「イケメン」と思ったあの子だ。涼しい目元がこころの好きな少女漫画に出てくる男の子と以てる。 オオカミさま≠ェ首を振った。 「訂正はしない。城が開いている期間は三月三十日までだ」 「それは、なんでそうなんだよ?」 彼が尋ねた。 「何か意味でもあるの」 「特にない。三月三十一日は、強いて言ぅなら、この世界のメンテナンス期間なんじゃないか? よくあるだろ。改装のためにお休みします、とかなんとか」 (辻村深月「かがみの孤城」)
三十日までなら、ちょうど読み終わるでしょう。図書館が開いててよかった! 『京極読書新聞』第106号で中学生が紹介していて、なにか面白そうな匂いがしたので読みたかったのでした。 図書館に次の本のリクエストも出して来たし…、読書生活も復元中です。
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