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「へえ、黒猫先生、そんなことを……」 「はい」 「それから……?」 「私の江戸言葉を聞かれて、面白がってくださいまして……。新作の小説に使おうと……」 鳥居部長の眼が輝いた。 「新作の小説に? おめえさんを、かい?」 「いや、どうやら私と話をなさっていて、気っ風のいい江戸っ子を主人公にすることを思いつかれたようでやす」 「江戸っ子が主人公……」 「それが、愛媛の松山かどこかで教師をやるんだそうで……」 「へえ、そいつは楽しみだねえ」 そこに、葦名警部と藤田がやってきた。 (今野敏「サーベル警視庁」)
こちらの明治警察も、いたる所に小技が詰め込まれていて楽しく読めました。最後に、関川夏央・谷口ジロー『「坊っちゃん」の時代』への謝辞があって、なるほどと思った。
今、平行して、国立国会のデジタル・コレクションの松崎天民を読み進めているのだけど、日増しに天民を人間像ライブラリーで扱いたい気持が高まっています。
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