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日本児童文学学会北海道支部の機関誌「ヘカッチ」第19号を頂きました。毎号、大きな発見があるのですが、今年度のは特に凄かった。
まず、谷暎子さんの論文『忘れられていた北海児童図書博物館――京極町の廣徳寺・江隈園導のとりくみ』。これは、十年前京極町で戦時中に使われた国策紙芝居が発見された時に、紙芝居とは別件で、湧学館で抱えていた未解決レファレンス「広徳寺に在ったといわれる児童図書博物館」を児童文化研究者の谷先生に相談したのがそもそもの始まりです。 その後、研究調査は少しずつ少しずつではあるが進み、時に「昭和3年、京都の仏教児童博物館」といった私などが考えてもいなかった相貌を見せてくれもし、ついにこの論文に辿り着いたと云えるでしょう。論文は「北海児童図書博物館」が京極という町の成り立ちと密接に関わっていたかを教えてくれます。 図書館史的には、この「北海児童図書博物館」の蔵書10点が見つかっていることが大きいと感じています。北海道の図書館史を見ても、何々の文献にこれこれの記述がある…といった程度の実証も多く、現実にその図書館の蔵書が残っているなどというのはかなり珍しいケースなのではないだろうか。私もその図書ラベルが貼られた10点を見ていますが、その分類法など解き明かさなければならないことはまだまだあると思いました。
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