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ながーい昭和が、やっと終わった。六十二年間のうち、戦争に明け暮れたのは四分の一くらいだったが、まるまる昭和を生きて来た者にとっては、半分くらい、いや、それより長い期間だったような気がする戦争だった。 (「人間像」第121号/編集後記)
現在、「人間像」の復刻は全190号の内、「125号」を進行中です。同人も一斉に定年退職期に入り、執筆にかける時間も増えてきました。時代も昭和から平成に入り、なにかと自らの「昭和」を考える作品が増えてきているように感じます。村上英治『いつかの少年』(124号)を読んだ時は、なんときっちりしたヤングアダルト文学!と感心したものです。
そしてついに児童書として出版されるようなケースも出てきました。朽木寒三『少年マタギと名犬タケル』(ポプラ社,1987)、『釧路湿原』(理論社,1991)は、「人間像」に発表された〈斎藤昭もの〉をベースに書き下ろされたものです。結構なお値段だったけれど、こればかりは図書館で済ませたくなく(私は斎藤昭ファンクラブなので)古書店で買いました。『少年マタギ――』は子どもに親切すぎる気がした。子どもは頑張って、大人のために書かれた小説だけど『縁の下の砦』(121号)を読んでみるといいよ。絶対面白いから。
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