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「事情はよく知りません」 「GHQは解明した。やはり誰が企画し、誰が実行したか。その個人名、密謀が計画された日時、場所がほぼわかっている」 「さっき先生が、謀略の阻止、関係者の排除で戦争は回避できる、とおっしゃったのは、その謀略を事前につぶすか、関係者を物理的に遠ざけてしまうということですね?」 排除という言葉が、暗殺を意味するだろうとはもう想像がついている。でも、ここではまだ、そう直截には言いたくなかった。 「そのとおりだ」守屋がうなずいた。「もちろん、この破局、この破滅に直接つながる歴史的事件はほかにもいくつか数えられる。でも、わたしたちがいま行って修正が可能な過去は、話したようにいまから二十年前ほどの過去だ」 和久田が言った。 「二十一年プラスマイナス二年の誤差、とわたしは計算する」 (佐々木譲「時を追う者」)
昨夜から読み始めたのですけれど、その「歴史的事件」が起こったのが、今日、9月18日だったんですね。
満州事変は、張作霖爆殺事件の三年後、一九三一年、昭和六年に起こった。張作霖爆殺事件の現場にも近い柳条湖で南満州鉄道の線路か爆破され、関東軍はこれを張作霖の息子・張学良の仕業として軍事行動を起こし、満州南半分を占領した。日本陸軍中央と政府もこれを追認した。日本政府は当初、不拡大、を唱えていたが、関東軍は翌年春までには北部満州までを占領している。 (同書)
これも何かの縁なのか。今、「人間像」第126号作業が終わり、第127号に手をかける直前のぶらぶらした数日です。ぱっと読んでしまおう。
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