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ぼくらの年代は戦中から戦後にかけて青春時代を過ごしたことになるが、一世代前の老人と言われる人たちは戦前から戦中にかけて青春時代を送っている。従ってそう言う人たちを描く場合どうしても戦争時代の影を省くことはできない、と言うのがぼくの固定観念にもなっている。関わりの軽重・深浅はあろうが、むしろ老いが深まるにつれて戦争にまつわる影は濃さと重さを増して思いだされるのではないか、と言うのもぼくの中に固く観念化されている。そうした影を意識しない人がおれば、その人はまだ実際には〈老いて〉はいない人なのではないか。一作ずつを書きながら、そんなことを思った。 (針山和美「老春」/あとがき)
2024年の暮れから2025年の新年にかけての仕事になるのかな。小樽のひきこもり生活も8年目に入ります。『老春』の作品群を今一度ワープロから起こしていると、なぜか、馬鹿だった自分の若い頃をあれこれ思い出す。
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